No.02 「重ね煮」

【「重ね煮」とは?】
   皆さんは、煮物というとどんなものを思い浮かべますか?

ここでご紹介する「重ね煮」は、一般的な煮物と違い、砂糖やみりん、化学調味料などを一切使いません。そればかりか、油やだし、水さえもほとんど使わず、切った材料を、鍋に重ねていって煮るだけという調理法です。鍋の底と、材料を重ねた上に自然塩を少しふるだけで、滋味深く甘い煮物ができあがります。それは、野菜本来のうまみが、最大限に引き出されているから。

 
大根もごぼうもにんじんも、皮をむかないで根っこまでしっかり使います。ごぼうは、水につけるアク抜きもしません。「重ね煮」はまさに、自然を「まるごといただく」調理法。鍋の中で、アクさえもうまみに変わって、それぞれの野菜が持ち味を存分に発揮するのです。「重ね煮」で調理した野菜は、驚くほど深い味わい。いくらでも食べたくなってしまいます。 

ただし、材料を重ねるのには、ある一定の法則があります。下からきのこ類、なすやトマトなどの果菜類、キャベツや青菜などの葉菜類、里芋やじゃがいもなどの芋類、大根やにんじんなどの根菜類、そして穀物といった順番です。
 
これは、マクロビオティックの基本「陰陽論」に基づいているのですが、野菜には種類によって「陰」(遠心)のエネルギーと「陽」(求心)のエネルギーを持つものがあり、「重ね煮」では「陰」の野菜を下に、「陽」の野菜を上にして煮ます。そうすると、「陰」の野菜は上に向かおうとし、「陽」の野菜は下に向かおうとするので、鍋の中で全体が影響しあって、ちょうど自然界と同様のバランスと調和がはかられるのです。鍋の中に「小さな宇宙」ができるともいえるでしょうか。「重ね煮」を食べていると、体にエネルギーがみなぎってくるのは、私たちの体が自然と共鳴するからかもしれません。 
また、「重ね煮」は、水を入れずに素材と塩(または味噌)だけで煮るのが基本なので、冷蔵庫に入れておけば1週間くらいは日持ちします。油も入っていないので酸化の心配もなく、味も落ちにくいため、最後まで無駄なく使えます。基本の「重ね煮」を休日に作り置けば、平日は手間もかからずバリエーションは無限大。
 
その他、①皮をむかない→生ゴミが減る、②油の使用は最小限→水・油の使用量が減り、洗い物による環境汚染が少ない、③火加減は弱火→燃料の節約、などいいこと尽くめ。「重ね煮」は最高にエコロジーな調理法なのです。
 
 (参照文献「野菜たっぷり重ね煮レシピ 」船越康弘・船越かおり著)

筆者:河田訓子